現在多くの先進国で主流となっているのは西洋医学と呼ばれる医療です。ただしこの西洋医学には明確な定義が存在せず、時に近代医学や現代医学と呼ばれることもあります。

西洋医学を考える上でヒントになるのが、歴史における医療の捉え方にあります。中世ヨーロッパでは病気は神の恵みと考えられており、それを直そうとする医療は神への冒涜とされていました。こうした宗教の考え方は根深く、医療は長い停滞期を迎えます。

ルネサンス期に入るとイスラム世界の医学書がヨーロッパに入ってくるようになり、大学で研究が開始。人体に対する実証的実験も部分的に始まり、それまでの人体知識は否定されるようになり、近代科学としての医療が発展していくことになります。

このように西洋医学の進化は科学技術の発展と密接に結びついており、現代でも最先端技術を用いた治療方法や検査方法が積極的に開発されているのです。

西洋医学というものを考える際、東洋医学と比較することでその特徴を浮かび上がらせることができます。体全体の調子を整えて病気になりにくい体にする、漢方や按摩、鍼灸などで長期的に体に働きかけていく東洋医学とは対照的に、西洋医学は手術や投薬と言った直接的な方法を用いて病気の原因へアプローチします。

これによって短期での治療が可能になり、かつ症状の劇的な変化を得ることができます。ただしこうした積極的な治療が患者の負担になることもあるため、西洋医学が万能であるとは言いがたいのが現状としてあります。